試合観戦記(2004年秋季大会)


クライマックス

  ∇秋季関東大会準々決勝(11月3日:緑が丘スポーツ公園野球場:山梨県甲府市)





浦和学院
慶應義塾

※ 延長14回、日没引き分け試合

[慶]中林−鹿毛、高橋

 浦和学院と言えば、今や知らない人はいないくらいの高校野球名門校である。プロ野球選手の中にも巨人の清水をはじめ何人ものOBが在籍している。そして、今年度に限って言えば塾高野球部の漆畑哲也主将の兄、雅彦さんの母校という因縁もある。前日、栃木大会優勝校の宇都宮工を破って45年ぶりに秋季関東大会での勝利を挙げた塾高は甲子園を事実上決める事となる関東大会準々決勝でこの浦学と対戦する事となった。
 両校エースは共に前日に続いての連投という事で同じ条件。しかし、浦学のエース井上が110球台の投球だったのに対して塾高の中林は投球数154という熱投を演じていた。この辺りの疲労度の違いがどう出てくるのか、がポイントでもあった。
 立ち上がりにやや不安を見せる事の多い中林。この日も初回に2本のヒットに送りバントで先制のピンチを迎えたが、後続を打ち取り結果的には無難なスタートを切ることが出来た。だが、攻撃の方は初回、2回とチャンスを作ることが出来ず、逆に3回の守りでは無失点に抑えたもののノーアウトでランナーを2人背負うなど、塾高劣勢か?と思う序盤であった。
 しかし、試合は3回裏に動き出した。牽制死などもあってあえなく2死となったが、関東大会に入って調子が上向いてきた9番渕上が鮮やかなヒットで出塁すると、トップの竹内が右中間へ大きなタイムリー2ベース。嫌な流れを断ち切るかのような攻撃で塾高が先制した。
 続いて4、5回を復調の兆しが見えてきた中林がキッチリ抑えると、5回裏にもヒット2本に先ほどタイムリーヒットの竹内によるスクイズを絡めて追加点。「彩の国」の王者浦和学院相手に中盤で2点をリードするという良い意味で意外な展開になった。
 但し、相手はさすがに名門浦学。6回にはその回の先頭打者から容赦なく3連打。更には犠打、塾高バッテリーによる2つの暴投なども絡んで一気に3点を奪い逆転。強豪の怖さを見せつけられた。だが、塾高もその裏にすかさず相手エラー、ヒットを絡めて2得点して再逆転。にわかに試合が忙しくなっていった。
 7回表には再び浦学の反撃。先頭打者がヒットで出塁すると犠打、暴投に犠牲フライで同点。中盤から終盤に差し掛かるにつれて「もつれるのか?」と思わせる試合展開になった。ただ、塾高としてはこれまでの間に失点に繋がるバッテリーエラーが3つも出てしまっており、これは見ていて非常に痛かった。
 しかし、予想に反して8回以降はまさに埼玉優勝校と激戦区神奈川代表校の意地のぶつかり合いという展開に移っていく。「クライマックス」とも言えるプレーが次々に見られたのもこの後だ。9回裏の塾高の攻撃はまず一つ目のクライマックスだった。この回先頭の代打長谷によるヒットをキッカケに作った2死2塁のサヨナラのチャンス。この日ここまで無安打だった主将漆畑が放った打球はライト前へ・・・。ランナー新谷が必死の走塁でホームに戻ってくる。同時に浦学の捕手今成の元へボールが戻ってきてクロスプレー・・・。結果は僅かに新谷の手がホームベースに届かずタッチアウト・・・。振り返るとこの時が最近数十年間でもっとも塾高が甲子園に近づいた瞬間だったように思う。
 第二のクライマックスは11回裏の攻撃。1死後に2安打、1エラーで満塁という絶好のチャンスを作り、打順は3番高尾。雑誌記事によれば、ここで上田監督はスクイズを狙ったらしいが、高尾は打たせて欲しいと懇願したという。結局、ダブルプレーという結果に終わってしまったが、あくまで勝利にこだわるのか、それとも選手の精神面の成長に懸けるのか、采配の難しさを感じる場面でもあった。
 第三のクライマックスは13回表、浦和学院の攻撃。1死2塁からライト前へのヒット。もちろん2塁ランナーは3塁へ。しかし、ここでホームへの返球が打者の置いたバットに当たってとんでもない方向へ・・・。これを見た3塁ランナーはすかさずホームへ突っ込んでくる。誰もが「勝ち越される・・・」と思った瞬間、何とカバーに入ってた中林がボールをキャッチ。それを捕手の高橋に返球して見事タッチアウト。ボールがバットに当たらなければ3塁ランナーはそのままいた筈。何とも言えない幸運に塾高が救われた場面だった。
 そして、最後のクライマックス。照明設備が無い緑が丘球場という事で最終回となった14回。ここで得点できなければ、この日の勝ちが無くなる浦学は2死2塁からレフト前ヒット。2塁ランナーは当然のごとくホームに戻ってくるが、ここはレフト谷地からのノーバウンドによる素晴らしい返球でタッチアウト。力投の中林を救った。しかし、塾高は結局その裏の攻撃で得点圏にランナーを進めるも無得点で試合終了。両校の決着とセンバツへの行方は翌日の再試合に持ち込まれる事となった。
 45年ぶりの「センバツ出場確定」の瞬間には残念ながら立ち会えなかったが、レンタカーを飛ばして甲府まで駆けつけた私としては、この壮絶かつ素晴らしい戦いを目にする事が出来て本当に良かった。途中からはもうどっちが勝っても良いと思えるくらいの試合だった。埼玉出身の私にとって浦和学院は幼い頃から慣れ親しんでいる学校。その強さはよくわかっているつもりだ。私だけでなく「神奈川=横浜高校」というイメージを持つ人は多いと思うが、「埼玉=浦和学院」という人もきっと多い事だろう。
 そんなチームを相手にして塾高ナインは本当によく喰らいついたと思う。翌日の再試合では3連投の中林が遂に力尽き、0−6とスコア的には完敗。センバツ出場は微妙となってしまったものの、県大会の桐光学園、横浜戦での勝利、関東大会での宇都宮工戦の勝利、そして浦学との延長14回引き分けという事実は選手達に誇りに思って欲しい結果だった。

 そして迎えた運命の1月31日。そう、センバツ出場校を決める選考委員会当日だ。当落線上と言われていた塾高を待ち受けていたのは・・・

45年ぶりのセンバツ出場!!!

 選考委員会では再試合にまでもつれた浦学戦が高く評価されて、遂に関係者全員にとって待ちに待った瞬間が訪れたのだった。私も当日は内輪の祝賀会に参加させて頂き、塾高OBの方々と喜びを分かち合ったが、それにしても、前回甲子園出場時(昭和37年夏)は私が生まれるかなり前の事である。私自身は塾高野球部に注目するようになって10年、応援ホームページを開設してからは4年余りという短いファン歴だ。しかし、OBの方々にとってはこの復活劇は言葉に出来ないくらいの喜びだろうし、中には残念ながら後輩たちの甲子園での活躍を見る事無くこの世を去られたOBの方もいると聞いている。そのような多くの人々の思いが詰まった今回の甲子園出場。現役部員には変なプレッシャーを感じて欲しくはないが、多くの人たちの応援を自分たちの力に変えて本番に臨んで欲しいと思う。
 ともあれ、既に気持ちは甲子園。センバツ大会は社会人にとって微妙な時期の開催だけに現地まで応援に行けるかどうかは組み合わせ抽選次第だが、やはり何とか甲子園で「若き血」を歌いながら、塾高野球部の活躍を生で見たいものだ。
 では、最後に改めて塾高野球部へ・・・

おめでとう!そして有難う!!!

2005年2月6日



栄光への架け橋

  ∇県大会準決勝(10月2日:保土ヶ谷球場)

慶應義塾
横  浜

[慶]中林−鹿毛、高橋

<ダイジェスト>

(1回表)大観衆の下で試合開始。川角を捕らえる事は出来ず三者凡退。

(1回裏)先頭黒葛原の二ゴロを高尾がエラー。犠打で2塁へ送られるが、3番相沢、4番福田は内野ゴロ。無失点で切り抜ける。

(2回表)大久保死球で出塁も山口バント失敗で送れず。中林併殺で無得点。

(2回裏)白井、和泉が2連打。犠打で1死2、3塁とすると下水流の犠飛で先制。

(3回表)佐藤廉が2塁打で出塁。犠打で1死3塁のチャンスを迎えるが、後続が断たれる。

(3回裏)黒葛原が1塁強襲ヒットで2塁へ。更に暴投の間に3塁へ進む。相沢四球で無死1、3塁にされると橋本の三ゴロの間に三塁走者がホームイン。その後、3盗を阻もうとした鹿毛の送球が外野へと転がり追加点が入る。

(4回表)この回先頭の漆畑がセンター前ヒットで出塁。犠打で送ると、2死後山口にタイムリーが飛び出し1点返す。

(4回裏)走者1人出すも無失点。

(5回表)佐藤廉のセンター前ヒット、鹿毛のバントヒットから犠打で1死2、3塁のチャンスを迎える。新谷三ゴロ、漆畑四球で2死満塁となるが、高尾は初球をサードに転がしてしまい無得点。

(5回裏)1死後に四球、ヒットで1失点。しかし、次塁を狙う走者を刺すなど好プレーも出る。

(6回表)この回より横浜は2番手西嶋にスイッチ。大久保がいきなりセンターオーバー2塁打を放つ。山口、中林が連続三振に打ち取られるが、佐藤廉、代打野毛が四球で出塁し2死満塁の大チャンス。ここで代打平川が2球目の高めストレートをフルスイングし、何とレフトスタンドへ逆転満塁HR!更に1番新谷がヒット、続く漆畑のセンターへの飛球は風で伸び、センター越前はグラブに当てながらも捕球出来ずタイムリー2塁打。この回一挙5得点で試合をひっくり返す。

(6回裏)安打、四球をキッカケに2死2、3塁のピンチを迎える。しかし、3番橋本の強烈な打球は代わったばかりのサード長谷のグラブへと納まり、ピンチを脱す。

(7回表)前の回の終盤から登板の桜田に対して、山口の四球、中林、長谷の安打を絡めて2死満塁のチャンスを作る。しかし、高橋が三振に倒れ追加点ならず。

(7回裏)4番福田からの好打順も中林が初めての三者凡退に切って取る。

(8回表)1死後漆畑がショートのグラブを弾く強烈なヒットで出塁。高尾、山口の四球でまたも2死満塁のチャンス到来。しかし、中林はレフトフライに倒れ、依然追加点は奪えず。

(8回裏)中林はこの回も三者凡退に抑え、最終回へ向けて弾みをつける。

(9回表)1死後に長谷が四球で出塁するも、後続が続かず、2点リードのまま最終回へ。

(9回裏)先頭の黒葛原が四球。2番相沢は二飛に打ち取るが、3番橋本のサードへの打球がフィルダースチョイスとなって1死1、2塁。ここで4番の福田を迎えるが、中林は力みが出たのかまたも四球で1死満塁という1打サヨナラ負けの大ピンチ。続く5番白井はレフトへの犠飛。3塁走者が生還して1点差。なおも続くピンチ。バッターは6番和泉。ここで2塁走者が3盗を決めて2死1、3塁とピンチが広がる。しかし、和泉をファールフライに打ち取って試合終了。慶應義塾が実に38年ぶりの公式戦での横浜戦勝利を納めると共に6年ぶり7度目の関東大会出場を決めた。

<観戦記>

 突然であるが、私は横浜高校が好きだ。ミーハーと言われるかも知れないが、やはり松坂投手(現西武)を擁した98年夏の甲子園での活躍を見た事がキッカケである。今や規定の関係で有り得なくなったPL学園との延長17回の死闘、6点差を8、9回で跳ね返した明徳義塾戦、松坂投手がノーヒットノーランを達成した京都成章戦。どの試合も見ている側に感動と興奮、何より高校野球の楽しさを教えてくれる素晴らしい試合だった。そして、あの迫力のある応援も六大学野球の応援を見慣れているせいもあってか、非常に馴染みやすいものだった。
 その年の秋、全国制覇帰りの横浜と塾高は新チームで関東大会出場を果たした。塾高もエース錦織、後に大学野球部でも活躍した菊地、竹光、武山、林、越坂部、福田(大学4年)など錚々たるメンバーを擁していたが、それでも横浜の壁は厚く、県大会決勝戦では0−3で敗退。しかし「2校が揃ってセンバツに出場できれば・・・」関東大会が始まるまで、私はそのような思いでいっぱいだったように記憶している。残念ながら塾高は関東大会で初戦敗退、センバツ出場は成らなかった。しかし、新キャプテンの松本、更に袴塚、斎藤の投手陣をはじめ、夏の甲子園を経験した選手数人を擁する横浜ならきっと上位に勝ち進み、センバツ出場を確実にする筈。ならば、そのシーンを見たい。そんな気持ちが再び私を高崎城南球場へと向かわせた。
 そして、やはり横浜は勝った。1月に選考会が開かれるとは言え、関東大会で4強に入ればセンバツ行きはほぼ確実。喜びを爆発させても良い場面だが、選手たちはグラブでのハイタッチ程度で意外にあっさりと引き上げてきたように思う。一瞬「甲子園慣れしているからなのか?」とも思ったが、おそらくそうではない。「まだ大会は終わっていない!」と全選手が気持ちを引き締めていたのだろう。そんな姿がカッコ良くも見え、更に横浜が好きになった。同時に「塾高にとってはまだまだ遠い存在のチーム、ここに勝たなければ神奈川から甲子園出場なんて有り得ない。出場してもおそらく高校野球ファンには認めて貰えない。横浜は好きなチームだが、いつかこのチームに勝つ瞬間を見たい。」そんな思いが沸き起こったのもまた事実である。
 あれは確か今秋の地区予選が始まる頃だったと思う。私はこのHPの掲示板で「慶應の各選手の打球が描く放物線が栄光への架け橋になれば・・・」というような書き込みをした。ご存知の方も多いと思うが、アテネ五輪体操日本男子金メダルの瞬間にNHK刈谷富士雄アナが発した台詞をもじったものである。しかし、まさか1ヶ月以上経ったところでこれが王者横浜高校を相手にして現実のものになるとは・・・。
 序盤は完全に塾高の空回りだった。エラー、四球をキッカケに失点するなど全く地に足が着かないような守備陣。打線はランナーが出てもあと一本が出ないという内容。横浜の打者が格の違う打球を随所に見せつけながらじわりじわりと点を奪っていくのを見て「これは完全な負けパターン。ひょっとしたらコールド負けもあるのでは・・・!?」と思わざるを得なかった。
 だが、これぞまさに高校野球とでも言うべきなのだろうか?横浜が6回表から投手を1年生エース川角から同じく1年生西嶋へと交代した瞬間に「陸の王者」が「王者」に対して牙を剥き出し始めた。まずこの回先頭の4番大久保が強烈なセンターオーバー2塁打、その後山口、中林は連続三振に打ち取られるが、その後佐藤廉、代打野毛が連続して四球を選ぶ。そしてここで登場したのは代打平川。鎌倉学園中出身という異色の1年生である。この平川がとんでもない事をやってのけた。何と2球目の高めストレートを振りぬき、何と見事レフトスタンドへ満塁ホームラン!慶應側スタンドは皆総立ち、一気に塾高が逆転に成功した。
 普通ならここで終わりそうなものだが、なおも1番新谷のヒット、2番キャプテン漆畑のタイムリーヒットが続いて何と2点差。あの横浜を相手に塾高が逆転、そしてリードを広げていく・・・この間までは想像も出来なかった事がまさに目の前で起こっていた。結局この回一挙5得点。私も感動を貰った98年夏の横浜−明徳義塾戦の逆転劇は最終回松坂の登板によって起こったが、この試合では横浜にとって皮肉にも投手交代が塾高に逆転の流れをもたらす結果となった。
 その後、エース中林は9回に力みが出たのか1死満塁とサヨナラ負けの大ピンチを迎えはしたものの、何とか犠牲フライによる1失点で凌ぎ切り試合終了。王者横浜の牙城を崩しての関東大会出場を決めた。6年前に私が抱いた「思い」は現実となった・・・。
 毎年必ずと言って良いほど上位に勝ち進む横浜高校は私の中では別格。そんなチームを常に作り上げる渡辺元智監督、小倉清一郎部長は本当に素晴らしい指導者だと思っている。前回の対戦(01年春季県大会2回戦)では塾高が5回コールド(0−10)で敗れた。実際、今季の塾高に比べればあの時の塾高は前評判は高くなかったと思う。しかし、私は小倉部長がその前日の1回戦(西湘戦)を日吉台野球場まで偵察にいらしている姿を見かけた。その時「王者は例えどこが相手となっても絶対に手を抜く事はしないんだなあ・・・」と感激した覚えがある。そんな横浜に勝ってくれた事は本当に嬉しかった!
 さてこの試合、特に大きな「放物線」を描いた背番号18の平川は何と公式戦初出場だったとの事。横浜を相手に迎え、保土ヶ谷球場は夏の大会並みの大観衆、見ているだけでも心臓が破裂しそうな展開。それにも関わらず、プレッシャーをモノともせず、あのようなバッティングが出来る彼を見て驚いた。また、そんな選手層の厚さに数年前までの塾高とは一味違う塾高を見たような気がした。まさに「陸の王者」復活を予感した試合でもあった。
 冷静に振り返ればエラー、バント失敗、満塁のチャンスを度々迎えながら中々あと一本が出ないなど高い目標を掲げるチームとしては正直、課題の多い試合だとは思う。しかし、野球は終わった時に1点でも多い方が勝利するスポーツ。それだけにこのような大事な一戦、スコアはどうであれとにかく勝たなければ意味が無い。まだ、決勝戦、関東大会と試合の機会が沢山残っている。横浜高校に勝利した事を良い弾みとして更にレベルアップした慶應義塾を見せ付けて欲しい。さあ「陸の王者復活へ」序章第一幕は開いた。

2004年10月03日 19時20分06秒



勝って兜の緒を締めよ!

  ∇県大会準々決勝(9月25日:相模原球場)

慶應義塾
桐光学園

[慶]中林−鹿毛

<ダイジェスト>

(1回表)2死より3番湯浅が詰まりながらもレフト前ヒット。しかし、4番山口は二ゴロに倒れて無得点。

(1回裏)今日はやや制球難?のエース中林が1番村山をいきなり四球で歩かせる。犠打の後、3番増田がセンターオーバーの2塁打を放ち、早くも1失点。強打者の4番岡山を敬遠気味の配球で歩かせ、5番清島には三ゴロを打たせるが、サード渕上がファンブルさせ併殺は逃す。その後、6番手島にも四球を与えて2死満塁の大ピンチ。しかし、再び三塁へ転がった難しいバウンドを今度は渕上が華麗なフィールディングで裁いて3アウト。

(2回表)2死後、7番中林が遊ゴロを打つも相手の送球エラーで2塁まで進塁。しかし、8番鹿毛が倒れて結局この回も無得点。

(2回裏)1死後に9番高橋、1番村山に連打を浴び、ピンチを迎えるも後続を断って無失点。

(3回表)先頭の9番渕上が四球を選んで出塁。しかし、1番新谷は送りバント失敗。その後盗塁を試みるも桐光の捕手梶の肩に阻まれる。後続も倒れて無得点。

(3回裏)4番岡山を捕邪飛に打ち取った後、四球、安打で走者1、3塁のピンチを迎えるが、7番山室の打球はサード渕上へのライナー。そのまま3塁ベースに飛びつきダブルプレー。ピンチを凌ぐ。

(4回表)先頭湯浅が右翼へクリーンヒット。ライト南澤が後逸している間に3塁へ。更に4番山口が死球で出塁。無死1、3塁という絶好のチャンスを迎えるが、5番竹内はバント失敗で走者進塁出来ず。しかし、6番高尾がスクイズをキッチリと決めて同点。なおも四死球により2死満塁とチャンスが続くが、9番渕上の打球は惜しくもショート村山に追いつかれて3アウト。

(4回裏)中林徐々に調子を上げ、2者連続三振に一ゴロという内容でこの回を守り切る。両チーム通じて初めての三者凡退。

(5回表)先頭新谷がセンターオーバーの3塁打。1死後、湯浅がライトへ2塁打を放って勝ち越し。山口が死球で出塁してチャンス広がるも代打野毛が二ゴロ併殺に倒れて追加点はならず。

(5回裏)桐光は2番からの好打順。しかし中林が投ゴロ、右飛に打ち取る。4番岡山も右飛に抑えてこの回も三者凡退で終了。

(6回表)先頭高尾がレフトへの安打で出塁するが、次打者中林バント失敗で送れず。8番鹿毛がセカンドにフライを打ち上げるが、走者が飛び出しすぎで戻れずダブルプレー。

(6回裏)先頭清島を三振に抑えるも手島、山室の連打で走者1、2塁のピンチ。南澤から代わっていた松本の右飛の際に2塁走者が3塁へ。9番高橋の左翼前のヒットで同点に追いつかれる。

(7回表)先頭渕上は四球。1番新谷が犠打で送る。 2番キャプテン漆畑の中堅前ヒットで走者1、3塁のチャンス。当たっている3番湯浅はやや敬遠気味に歩かされて満塁に。ここで4番山口がレフト前にキレイなヒットを放って再び勝ち越しに成功。更に途中出場の谷地がセンターへ2塁打を放って一気に2点追加。続く高尾にもタイムリーが出てこの回一挙4得点。なおも満塁のチャンスを迎えるが、後続が倒れて攻撃終了。

(7回裏)5回同様2番からの好打順。しかし、2、3番は二ゴロ、遊ゴロ。そして岡山はセンターへフラッとした飛球を打ち上げるが、 山口の好捕で三者凡退。

(8回表)先頭新谷がライト前ヒット。漆畑の犠打でチャンスメイクするが、後続が倒れ無得点。

(8回裏)当たっている手島、そして松本の単打でピンチを迎えるが、9番高橋を三振に切って取り3アウト。

(9回表)1死後、高尾がレフト前ヒット。中林がバントを決めた後、鹿毛が死球。2死ながら走者1、2塁のチャンスを迎えるが、今日は渕上にあと1本が出ずに追加点はならず。

(9回裏)桐光1番からの好打順。先頭村山はいきなりライトオーバーの3塁打。2番梶が一飛に倒れた後、3番増田の二ゴロの間に3塁走者生還、3点差となる。中林は勝利目前にやや力んだのか4番岡山、5番清島へ連続四球を与え1発同点の大ピンチ。迎えるは当たりに当たっている6番手島。サードへ強烈な打球を放つが、ボールはサード渕上のグラブへしっかりと納まり試合終了。 慶應義塾が優勝候補の桐光学園を下した。


<観戦記>

 終わってみれば横綱クラスの相手に見事な勝利。そして、6年ぶりの関東大会出場まであと1勝となった。しかし、冷静に振り返ると今日は更なる上位へ勝ち進むには まだまだ課題のあるゲームだったように思う。
 攻撃についてはまずバント失敗の多さが挙げられる。結果的にファールで済んだものも含めればかなりの数だった。試合を観戦された方ならば誰もが感じたところではないだろうか。今日の対戦相手は県内屈指の右腕との呼び声高い山室投手という事で バントするだけでも難しい相手だったのかも知れない。だが、勝ち進むにつれて相手の投手力は必然的に上がるであろうし、今後バントの成否が鍵を握ってくる試合もあるだろう。
 それからランナーの走塁ミス。6回攻撃時にセカンドフライが上がった際に一塁ランナーが戻れず、ダブルプレーという場面があった。冷静に行方を追っていれば十分どうするべきか判断出来る打球だったように思う。試合展開によってはこのようなプレーがその試合で唯一のチャンスを潰す事にもなりかねないので走者も気を抜かずにいて欲しい。
 そして、守備面。これは毎試合の事になってしまうのだが、エース中林のコントロールの不安定さが少々気になるところ。特に今日は終始制球に苦しんでいるように思われたが、勿論いくら好投手であっても人間である以上、日によって調子が異なってくるのは仕方が無い。但し、ワンバウンド投球の多さ、フルカウントの多さは応援している方もヒヤヒヤさせられてしまう・・・(笑)。キャッチャーのリードも関係してくるところなので一概に投手のせいには出来ないと思うが、見ていると「この場面では不要かな?」と思われる「外し球」(=ボール)が多用された結果として フルカウントにもつれ込むケースが多くなっているような気がした。中林は三振の山を築くというより打たせて取るタイプだと思うので変にかわして球数を増やさずに積極的に打者と勝負をして欲しいと私は思った。
 守備陣については、記録上ノーエラー。 だが、今日は相手の名前にビビッたのか、 序盤ではキャッチングミスが幾つか見られた。試合が進むにつれて安心して見ていられるようになったが、1週間後にはそのような場面がゼロになることを期待したい。 スローイング、中継プレーに関しては練習の賜物なのだろう非常に好プレーが多いだけに折角なら全てを完璧に近づけて欲しい。
 厳しい事ばかり先に書き込んでしまったが、勿論、良いところもあった。今日は何と言ってもチャンスでの集中打!これまでの塾高は相手(特に名の知れた強豪校)にリードされるとそのままズルズルと試合が進んでしまい、終わってみたら負けているというイメージが強かった。そのような中、今日は逆にチャンスでタイムリーを連発するなど今まで殆ど見られなかった勝負強さを見せてもらったような気がした。また、先述したような形でエースが苦しんでいる試合こそ打線の活躍が立ち直る為の薬になるだけにその点からしても今日の攻撃陣の活躍は見事であった。
 今日は中林の立ち上がりが悪く、初回にあっさり失点した際にはコールド負けも有り得るか?という不安が頭の中をよぎったり、最終回も1発同点という大ピンチを迎えるなど3点差というスコア以上に苦しい試合だったと思うが、優勝候補の桐光学園に競り勝った事は非常に大きい。桐光の山室投手も調子がイマイチだったようで序盤こそ「さすが!」と思わせる投球内容だったものの終わってみれば11安打、9四死球(うち5死球・・・)という乱調ぶり。 だが、桐光に勝ったのは事実。これを自信として次の試合に臨んで欲しい。その対戦相手は言わずと知れた王者横浜高校。最近4度の対戦では勝利どころかホームベースさえ踏めない結果だった。しかし、今秋の慶應は違う。関東大会出場、甲子園出場に向けて大暴れして欲しい。
 今日は塾高應援指導部、吹奏楽部も応援に参加。スタンドでは度々「若き血」の大合唱が沸き起こるなど大盛り上がりだった。私はネット裏で戦況を見守っていたが 応援の声は余裕で球場全体に響いており、見ていて(聴いていて)頼もしかった。かねがね書き込みしているが、スタンドの応援が試合の流れを変える事だって十分に有り得る事である。今日はそのような意味で「全員で掴んだ勝利」だったのかも知れない。さあ、6年ぶりの準決勝だ。慶應ファンの皆さん、週末は保土ヶ谷へ集合!

2004年09月26日 02時11分10秒



投打バランスの良い勝利

  ∇4回戦(9月18日:藤沢八部球場)

藤沢翔陵
慶應義塾

[慶]中林−鹿毛

 県大会の初戦、2戦目と無失点で勝利した塾高。今日は神奈川新聞のスポーツ欄に中林特集も掲載されていた為(この情報、私は球場で知人に聞いて知った・・・(笑)。)3連続完封なるかどうか?にも注目しながらの観戦となった。
 総括すると今日はコンパクトなバッティングによるヒットの嵐に足を上手く絡めて走者を進ませ、最後はタイムリーヒットで得点するという理想的な攻撃。守ってもエース中林のコーナーを狙ったピッチングが 決まっての完勝劇であった。
 残念ながら中林は4回にヒット、四球でランナーを出し、その後、相手の4番打者に犠牲フライを打たれた為、無失点は途絶えたが、守備陣が判断良く3塁を狙うランナーを刺してダブルプレー。傷口を広げない好結果となった。
 また勝利目前の9回に強烈なピッチャー返しが中林を襲った時はヒヤッとさせられたが、グラブに上手く当てて凌いでおりこれにはホッとした。この回はやや気持ちが緩んだのか、2死満塁というピンチを招いたものの終わってみれば無得点で切り抜けて試合終了。2002年夏以来の県大会ベスト8進出となった。
 今日も無難に勝利をおさめた塾高野球部。攻撃面は非常に効率が良く、見ていて安心できた。守りでは中盤、終盤に複数のランナーを背負ってヒヤヒヤする場面もあったが、次戦以降は過酷な戦いが予想されるだけにこういった場面を経験しておいた事はきっとプラスに働く事だろうと思う。 とかく好投手の中林が注目されるチームではあるが、他の選手たちもソツの無い守備、打撃、走塁を行っており全員野球をやっているな!と実感できるのが今季の塾高野球部。最初の目標、関東大会まではあと2つ。準々決勝は強豪桐光学園との対戦となる。最近の対戦では敗れ続けている相手だけに今秋こそは勝って欲しいものである。

2004年09月18日 18時24分25秒



エース中林、貫禄の完封勝ち

  ∇県大会2回戦(9月5日:日吉台野球場)

慶應義塾
12
大  和
(6回コールド)

[慶]中林−鹿毛

 昨夜から降り続いた大雨の影響で試合開催されるかどうか不安だった今日の2回戦。朝には雨は一旦止んでいたものの、グラウンド状態は万全とは言えない状況でシートノックも無く試合は始まった。
 相手の大和高校は昨日の初戦をコールドでモノにして2回戦に駒を進めてきた公立校。一方、地区予選は3校ブロック1位通過だった塾高は今日が県大会初戦と言う事で、若干の試合感覚の差がどう出るのか?注目しながらの観戦となった。
 私がエース中林の投球を見るのは夏の桐蔭学園戦以来であったが、今日は球威、コントロールとも十分の内容で被安打2(バントヒット1、クリーンヒット1)、与四死球2(死球1、四球1)という結果。相手チームに3塁を踏ませることなく6回を完封した。
 その中林は今日、奪三振が多かった為、正直なところ全体の守備力に関してはよく判らなかったが新キャプテン、ショート漆畑の見事な一塁への送球も見られて頼もしさを感じた。
 打線の方もバントがよく決まり、足を絡めた攻撃も何度か見られた。また、夏の時点ではベンチに入っていなかった選手の中にも見事なバッティングを見せる選手が出てきていて、今秋も期待が持てるな、という印象が強かった。それからエース中林はバッティングも見事だった(笑)。
 まだ県大会は始まったばかり。次の3回戦は私学、立花学園戦である。派手な勝ち方はいらない。確実に試合をモノにして欲しいと思う。

2004年09月05日 16時28分43秒



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